〇『人生はまだ長いので』(都陽子、Shodensha FEEL COMICS、祥伝社)
都陽子著。全1巻の短編集。表題作の初出が同人誌であるほかはほとんどが『FEEL YOUNG』誌初出。巻末にはおまけとして描きおろしが収められています。
巻頭の短編である表題作は、アイドルだった女性たちのリスタートの一場面を描いた作品となっていますが、その他は恋愛や男女の関係を描いた短編が多いです(例外的な話もあります)。陰毛描写は、その中の1話「好き心に秘めたるは」という話であります。同話は、この短編集のなかでも最もエロティックな描かれ方をしている作品でした。その他の話では過激な性描写はあまりありません。
各作はそれぞれ登場人物の人生の一場面を切り取ったような形になっており、話も短く非常に読みやすい作品になっています。陰毛描写のある一編は、そのなかでも異色であり、陰毛描写が話に与える影響力を感じさせます。
〇『南くんの恋人』(内田春菊、文春文庫、文藝春秋)
内田春菊著。今回紹介する文春文庫版は、1987年に青林堂で刊行された同作を文庫化したものと思われます。文春文庫版は1998年に刊行されたようで(単行本奥付より)、Kindle版などの電子書籍でも読むことができます(今回もKindle版で読みました)。文春文庫版は全1巻です。
内容は、手のひらサイズまで小さくなってしまった南くんの恋人ちよみと高校生南くんの日常生活、そしてその終わりを描いています。30年ほど前の作品ですが、1巻でまとまっており読みやすく、現在でもおもしろく読むことができます。
陰毛描写は少ないですが2・3か所ほど。作品の絵柄などからは、かわいらしい印象を感じますが、陰毛などの描写によって生々しさが表されています。
今回紹介した2作を読むと、陰毛描写が作品の中で効果的に使われており、陰毛が作品内で描かれることによって、話にエロティックさや生々しさを与えていることがわかりますね。