〇『となりの林檎』(山崎紗也夏、NICHIBUN COMICS、日本文芸社)
山崎紗也夏著。初出は『週刊漫画ゴラク』。単行本は全1巻。
若くして夫に先立たれた主人公の林檎は、再婚や新たな恋愛はせず、しゅくしゅくとOL生活を続けていた。性欲も自分で解消する日々を過ごしていたが、ある日、隣部屋に亡き夫に似た好青年が引っ越してきたことにより、その青年に心が惹かれていく…、という内容になっています。
性描写は多く、それに合わせて陰毛描写も多くなっています。しかし、キャラクターの造形は落ち着いており、青年漫画でよく出てくる、いかにもというような醜悪なキャラクターが出てこず、ドラマのような作品となっています。さわやかな大人の男女の恋愛や駆け引きを扱っており、大人の恋愛を描く漫画が好きな方にはおすすめです。
〇『恋愛のばか』(高瀬志帆、Shodensha FEEL COMICS)
高瀬志帆著。kindle版は全1巻で短編7編が収録。初出は描きおろしと4つの女性漫画雑誌から。
ホラー風味の1編を除き、話のほとんどは恋愛が主題となっています。陰毛描写は、電子版単行本の表紙のほか、「Land of Confusion」という話にありました。同話は単行本描きおろしで初出誌はありません。表紙の絵からもっと描かれているかと思ったのですが、陰毛描写はこの1話のみです。
各話、男女が考え方や恋愛観の違いから対立する、または逆にそれを乗り越えるという内容になっており、多くの話で男女のすれ違いが描かれています。初出が女性向け漫画雑誌でもあることから、主人公は全話女性です。一方で、男性の登場キャラクターは身勝手であったり、浮気性であったり、誠実であったりと色々な性格のキャラクターが登場しています。電子版の許になった単行本が2000年発行であることからも察せられるように、登場人物の考え方や行動、さらに作画などは、現在では少し古く感じるかもしれません。しかし、同作はドタバタ劇やスリラー調の話も収められ、バラエティーに富んでいる作品になっています。ちなみに初出誌は『スーパー・フィール』、『結婚しよっ』、『フィール・ヤング』、『ザ・サイコ』といった雑誌になっています。
当サイトのようなテーマでは、女性向け漫画雑誌などの作品は話題に取り上げられることが少ないので、これからも紹介していきたいと思います。