〇『わがままなオリーブ』(有村しのぶ、グループ・ゼロ)
有村しのぶ著。初出は『ヤングキング』誌かと思われます。
単行本はkindle版で全3巻。kindle版は電子コミック出版社グループ・ゼロによって、2019年に再刊されたものだと考えられます。旧版は、国立国会図書館サーチで検索しヒットした情報によれば、第1巻が1993年に「YKコミックス」として出版されているようです。表紙は、再刊の際に新しくアレンジしたと思われます。そのため、表紙を見た後に中身を読むと、時代差を感じる作りになっています。
ジャンルはラブコメ作品。両親が海外赴任のため、日本で姉と二人暮らしをする野球部所属の主人公は、ほどほどに部活をし、ガールフレンドもいる、充実した高校生活を送っていました。しかし、ある日、姉が美人の友達に家の一室を貸したことで、主人公のラブコメ的な日常がさらに加速していくという作品です。陰毛描写は、第1巻に一か所ある他に、主人公のものが描かれているときもあります。ほかにも毛に関して言及があるシーンもありますが、全体的に少ないです。
初出は1993年の作品ということもあり、人物描写や倫理観、主人公を取り巻く高校生の風俗描写などは少し古臭く感じるかもしれませんが、主人公に二人のメインヒロインという構図は現在でもとっつきやすく、面白く読めると思います。
〇『真昼のMARIA』(岡田ユキオ、NICHIBUN COMICS、日本文芸社)
岡田ユキオ著。構成は本編にあたる同名作品の他に、一作の読み切り作品が収録。本編の初出は『週刊漫画ゴラク』、読み切り作は『週刊漫画ゴラクSUPER増刊』になっています(作中の目次より)。単行本は全1巻。
主人公は、高校時代の恋愛に失敗したため恋愛に関してトラウマを持った、まひるという女性。自身の境遇を「負け犬」と感じており、頭の中には、高校時代に出現した、恋愛に関して積極的な発言をする「マリア」という分身を飼っています。まひるは、自身の分身であるマリアや、ルームメイトでイケてる女性・美夜からアドバイスをもらいながら、恋愛に積極的になり、バージンの卒業を目指すという内容になっています。陰毛描写は多数あり、リアルに描かれています。
初出年は2001年であり、この作品も少し絵柄などは古い印象を与えるかもしれません。しかし、全1巻でギャグマンガ的な内容なので、気楽に読むことができます。
近年では、主人公が性体験の少ない女性であり、自身の経験の少なさに葛藤するという作品が増えてきていると思いますが、この作品のようなギャグ的な性格を持つ主人公は珍しいのではないかと思います。