〇『年上のひと』(バスティアン・ヴィヴェス、訳:原正人、トーチコミックス、リイド社)
バスティアン・ヴィヴェス著。訳は原正人。フランスのバンドデシネ作家による作品。全1巻。
漫画の単行本としては少し価格が高いのですが(kindle版)、1巻のみで読みやすい作品です。海外(フランス)の漫画なので、絵や構成など最初は慣れないかもしれません。陰毛描写は数コマですが描かれています。
13歳の少年と、彼より3歳年上の少女の、ひと夏の出会いと別れが主題であり、話の進行や舞台となる街の雰囲気は映画のような作品です。まだ幼さが残る主人公と、年上で大人びて見えるエレーヌとの微妙な関係は、作品の中でこの先どうなっていくのだろうと読んでいてハラハラします。ちなみに「トーチweb」というサイトで途中まで読むことができます。
ひと夏の出会いという主題は、どうしてもどこか切ない印象を与えますね。読後、映画『君の名前で僕を呼んで』や『思い出のマーニー』などを思い出しました。
〇『聖女のヒメゴト』(山口譲司、マンサンコミックス、実業之日本社)
山口譲司著。全1巻(kindle版)。
単行本は「シスターB・T編」8話分と「ブラチュウ編」2話分、加えて作者の制作秘話少々によって構成されています。制作秘話によると、「月刊少年チャンピオン」や「漫画アクション」など、バラバラの雑誌に掲載されていた作品を単行本にまとめたものとのこと。
陰毛の形がチューリップに見える怪盗と、それを追うドジ刑事によるアクションコメディ作品です。キャラクターの設定上、ほぼ全編にわたって陰毛が描かれています。ただし、「シスターB・T編」8話分と「ブラチュウ編」2話分とでは陰毛の表現が多少異なっており、「ブラチュウ編」は陰毛表現が少しマイルドになっています。
個人的にはキャラクターの造形や、ラブコメチックな刑事と怪盗との関係が好きなので、続編があれば読みたいところですが、期待はできないでしょう。この作品に登場する怪盗は、他の山口譲司氏の作品にも登場しているとのことなので、他作品でも見かけたら、また紹介したいと思います。